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「フハハ、驚いたか?無理もない。わしの名は創造神盤古。この天下を作り上げた者だ」
「創造神盤古……?」
劉備は疑心暗鬼となっている。。
眉を顰めているのは唾のせいではない。
夢ではないかと目を細めているのだ。
それはそうだ。
神仏の加護など、信じていようと経験なんてするはずがないのだ。
しかし創造神盤古は構わず大きな息、雨のような唾とともに話を続けた。
「そうだ。まず言っておくがそなたは死んだ身だ」
「死んだ? 確かにこの玄徳はたしか病に倒れていたはずだが……」
「そう。そしてそなたと共に生きた者も皆死んでいる」
思惟する劉備、やがて頷いた。
「にわかには信じられぬが……いや、こうして目の前に創造神とやらがいる時点で信じる他あるまい」
「そういうことだ。流石に呑込みが早いな」
「フン、この玄徳は聡明であるからな」
この言葉に劉備は調子づく。
「……」
劉備とは聡明な君主として知られてはいたが、実際言う者にそのような者がいるはずない。
果たして劉備とは名君かそれとも――。
創造神盤古、僅かに考えるそぶりを見せたが、
「……まあいい」
咳ばらいをした後、
「そなたをこの世界に呼んだのは他でもない。一つ頼みごとがあってな」
意味深に続けた。
「頼みごと?」
不思議そうに眉根を顰める劉備。
「そうだ。皆々戦い足らぬ、或いは無念だと申しておってな」
「はあ……」
「ある者は手痛い裏切りに、ある者は老いとともに、ある者はそなたのように病に負けて――」
「……」
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