盤古

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「話をよくきいておらぬな?先に申したであろう。忠義心の記憶や裏切りなどの断片的なものから、そなたへの忠誠などはっきりしている記憶もあると」 「――と、いうことは?」 「そなたにかつて心より忠誠を誓った者たちであれば、やはりそなたにつくことであろう」 「おおっ」 「特に、七人の魂はそなたに限りなく近く、かの地に行けばすぐに探しに来るであろう。記憶だってそれなりに残っておるだろうしな」 「なんと!」 これには劉備も喜色満面となった。 「少なくとも七人は最初のうちから我が配下として忠誠を誓ってくれるのか!これは嬉しい。ちなみに曹操はどのくらいだ?」 「えーっと、確か十数人はいた気がするな」 「…………」 劉備は笑みを棄て、言葉を失う。 心の中でまた何かがへし折れる音すら聞こえた。 「もう、やっぱやめにしないかな……」 「ふふふ、そうはいかん。それにそなたとて魂が休まらぬ一人ではないか。こういう態度をとっておきながら、その実天下を再び狙ってやろうと疼いておるのじゃないか?」 その問いに劉備は僅かににやと笑う。 「ふっ、そこまでこの玄徳は貪欲にはなれんよ」 「ははは、そういう顔に言われても説得力に欠けるわい」 創造神盤古がそう言うと、劉備らの足元が墨を落としたかのように徐々にゆっくりと黒くなりだした。 「なんだこれは?」 やがて日が沈み夜がくるように、周りが暗くなる。 「そろそろかの地が出来上がった頃だ。劉備、字を玄徳よ。どうやらここでお別れだ」 「盤古……」 「そなたは再び生を受ける。しかも不老長寿でな。衰えを知らぬ身体で思う存分天下を競うがいい! さらば!」 その言葉と同時、引っぱられるかのように、目の前の世界は真っ黒に消失しだした。 「ちょ、ちょっと待て! これお約束の――ぬわーっ!」 劉備の身体はその暗い闇に呑まれていった。
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