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恐くは無かったのかと訊くと、
「それがね、実に堂々としてるんです。ファッションモデルがランウェイを歩くときみたいにね」
女はBさんの方など見向きもせず、胸を張り、まっすぐ歩いてゆく。そのまま正面の窓にぎりぎりぶつかる寸前でふっと姿を消した。靴音も同時に聞こえなくなった。
「今、こうして床に立ってる自分のほうが『間違ってる』んじゃないかって、思っちゃいました」
しばらく、窓からのきらびやかな夜景を見つめていたBさんは我に返ると、すぐにパソコンをシャットダウンし、会社を飛び出した。
翌日、役員を前に行ったプレゼンは大好評だったそうだ。
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