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遠慮も何もない、千夜との関係が私は気に入っていました。
はっきり言ってしまえば――私の初恋の相手も、千夜だったのです。友情と恋愛の境界線が一番よくわからなくなる時期、でした。一番身近にいた異性が彼で、元気が良いだけではなくいつも何気なく私を気にかけてくれる彼。しかも、実は彼もまた結構なイケメンだったわけなのです。
彼のお父さんはカッコイイと有名な大御所俳優。
そしてお母さんは、ブロンドが美しいハリウッドの映画スターでした。どちらかというとお母さん似だった彼は、お母さんの綺麗な髪色と青い眼の色をばっちり受け継いでいて、傍から見ると日本人離れした非常に美しい少年だったわけなんです。まあ、中身は良くも悪くもアグレッシブな悪ガキ少年だったわけなんですが、それがまた私には魅力的に映ったというか。
『はあ、私も中学校に行きたいです。病気でなければ、学校に行けたんだけどなあ…』
お見舞いに来てくれる彼に、あまり弱音を漏らすのもよくないんですが。ラストニンジャの最後のシーンで映った普通の中学校の風景を見て、私は思わずそんな感想を漏らしてしまっていました。
昔とても流行した、セーラー服の女の子が変身して悪と戦うアニメ。自分がヒーローになれる、と思ったわけではないのですが、それでも女の子にとっては中学校や高校の制服は憧れのものなんですよね。中学校は、絶対セーラー服のところに行きたい!なんてことを思っていました。残念ながら今の私は通信教育のみで、学校に通える身ではなくなってしまっていますが。
『じゃあ、さっさと治さないといけないな!』
そんな私を励ますように、彼はにかっと笑って言いました。
『教えてやろう!俺が通ってる“南十字学園”の女子の制服は、お前の大好きなセーラー服!しかも赤いリボンが超かわいいやつ!!』
『ええ!?本当ですか!!』
『そうそう。こんなかんじでな、ひだスカートは紺色で…』
『……千夜。忘れてました、貴方が素晴らしい画伯だということを。これなんですか。ゴキブリ?』
『早苗はたまに俺に対する優しさってもんを思い出してもいいと思う!!容赦がなさすぎて涙も出ねえ!!』
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