0人が本棚に入れています
本棚に追加
──またね。一期一会のお友達さん
去っていったのはそう言った僅か数秒後だ
なんとも特徴と言えばとにかく胸が無かった事と妙に優しかった事ぐらいか
だから突然訪問して来た時は男性か?と思ってしまった程だ。だけど尻がなんどまあ……女性らしい綺麗な尻だったのが確かめる術になったんだ
そもそも彼女は何だったのだろう?母からの電話によれば知り合いの知り合いの妹とか言ってた
母と親父は今日の夜ぐらいに帰るらしい
思い出して見ればあの朝食と昼食と夕飯は美味しかったなあ……あーんとかしてくれたのはちょっと恥ずかしかったけどさ
あ、それで思い出した。そうだ、仕上げ磨きだ。
仕上げ磨きをしてもらったんだっけな
あれは夕飯だった。夕飯はかぼちゃの煮物にサラダにハムカツだった。勿論美味しかったのでぺろっと
完食してしまった。少食の癖して……
それで部屋に戻ろうとしたら、彼女がにやりと笑って 「なにかわすれてなーい?」と言ってきたので
俺は「はいはい忘れてませんよー」と返して洗面所に向かったんだっけ。な
そこでさっと歯磨きを終えた……と、思ったら
「まだ終わってないよー」と言いながら彼女は正座してた。 「なによそれは」と聞いたら「仕上げ磨きだよ」と答えた。
そうして数年ぶりに膝枕で仕上げ磨きをしてもらったのだ。 上を見あげれば壁、耳にはひたすら優しい言葉かけ、と言う訳の分からん構図だったが恥ずかしすぎてそれを気にしてられなかった。
「あ、虫歯!」と彼女は言ったりして「え?」と驚くと「嘘だよ。でもそろそろ歯医者さんに行った方がいいね。奥歯が苦手みたいだし」
と笑いながら言ったりした
それで結局、それしか印象に残っていないんだよな
…… 確か彼女の名前は……名前………あ
白金雪子
そうだ。そんな名前だった
─── 一期一会だよ 私達は
彼女はそう言っていたなよく
また会えるかな?
会えないだろうな……一期一会だもん。
ああ
歯医者に行って褒められたかったなあ……
最初のコメントを投稿しよう!