GOLD GLIDER

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GOLD GLIDER

「お嬢さん、……見つかった?」  少女は、先程の声の青年が操縦する小さな飛行機に乗っていた。  青年は飛行帽とゴーグルで顔を覆っていて少し分かりにくいが、晴れた空と同じ色の髪に、またきっと同じ色の目をしていて、片耳に大きなイヤリングを付けているのが見れる。そんな事よりも彼女は回りの景色に夢中になっていたので、話が聞こえていたかどうかは──  先程の問いだが彼女は口を開く事は無かったが、ただ頭を縦に一度振る事で答えた。彼女の顔は、青年にはよく見えなかった。 「……そう」  空は晴れていて、黄金色が拡がっていた。  羽がある訳でも無い生き物が飛べているのは、羽が無かったからこうして飛べたらどうだろうと夢見てたからだ。  もうその乗り物が出来てから長く、飛ぶ事が当たり前になっても、その先に辿り着くまで危険を伴う事に変わりは無い。──それは二人の旅も同じ。  青年は少女の打ち上げられた信号を辿って彼女を見つけ、二人は果てしない黄金色の世界へ旅に出ていた。  それからの彼女は暫く黙り込んだ。  黄金色の空が拡がっているせいか彼女は何処かで寝落ちて、先程までの冒険を夢見ていた様だった、それに近い無力感を覚えた。 「……まぁ、いつかは同じものじゃないかもしれないけど、出逢えるだろうさ」  青年は、落ち込んでいるだろう彼女を励ました。つもりだった。  彼は思いついた様に、今の彼女の心境をさて置き、気になった事を訊こうと目を向ける。 「……しかし、ピッケルとか幾つか工具、持ってたんだろう? 何で小さく削ったりとかしなかったんだ?」  答えてはくれないだろうと思っていたが、彼女は今度は頭を横に振って、こう答えた。 「……あの宝石、思ってたよりデリケートだった」 「え」  青年は目を丸くする。  少女は上着の左ポケットへ左手を突っ込んで弄った。
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