粉雪降る街の喫茶店

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粉雪降る街の喫茶店

 時間は夜なのかと思う位に、辺りは暗かった。  しかし必ずしも夜だから暗いという訳でも無く、気温が低く、雪も降っていたのだから、空は灰色で暗かった。雪は激しく降っている様子では無く、鳥の羽が一枚優しく舞い降りる位だろう──優しい粉雪だ。  そんな粉雪の降る街の何処かで、その少女は誰かと待ち合わせで、とある広場にある街灯の様な建造物を背にして立っている様子だった。  黄金色の長い髪、両端に結んでいる赤いリボン、赤いベレー帽、赤いロングコート、その下に長袖の黒いニット服、膝上まで折られたパンツ、黒い長丈ストッキング……、  ──そして胸には、彼女の目と同じ色の宝石ペンダント。  華奢な身体つきな事もあって、目を惹かせる位にとても可憐な容姿をしていた。  少し時間が経つと、何処からか鐘の鳴る音が響いて、一人の若い男性が軽く手を振りながら彼女に近付いた。彼女はそれに気付くと会釈して、彼に案内されて、街にある一軒のアンティークな喫茶の前に辿り着いた。 「……よし。此処でお茶でもしながら話そうか」  そう声を掛けられて、彼女は一度頷いた。彼と一緒に喫茶の中へ入ろうとしたが、その前に。 「……あ。あの」  彼女はふと思い出した様に声を出した。その声に、若い男性は振り返る。 「何だい?」 「此処は……動物は大丈夫ですか?」  彼女の首回りやロングコートのポケットでアスレチックの様に遊び回る、猫やら兎やら分からない小動物が二匹、若い男性の視界に映った。それがちょっと可笑しかったのか、彼はクスッと笑った。 「……あぁ」  喫茶の方を一度向くと、また彼女の方へ振り返ってこう答えた。 「ちょっと確認してみるよ。待ってて」  先に若い男性が喫茶の中に入って行った。  少しの時間、彼女は扉の少し前で待っていると、入り口の扉の向こうから若い男性が笑顔を見せて来た。
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