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「えぇ」
少女は頷いて答える。少し間を置いて、ノアールは続けて彼女に訊ねた。
「──原石でもない、職人によって綺麗に削られた宝石だったという事は、何処かの大泥棒が大昔のいつかに落としていったのかな?」
「……恐らく、ですね」
少女はノアールの口元に目を向ける。
彼は凄く笑いを堪えている様子だった。それは何故なら──
「……それについてはあなたの方がよっぽど詳しいのではないですか?」
「はははっ、……そうだね。あの記事を書いたのは正しく、僕だ。だけど、現物を見つけた当事者の話を訊きたい。こうしてインタビューしてるのだから、ね」
Q3.見つけた時の状況を詳しく。
「あなたの記事にあった情報を元に、その沼を探し回りました。そして半日後に漸く、沼の前で何か輝いているものがあって、これじゃないかなと憶測で手を伸ばしている内に、……沼に落ちました」
「ふふっ、……失礼。落ちちゃったのか」
ノアールはまた笑いを堪えている様子だったが、彼女の無表情が変わらないでいるのが少し恐怖に感じて、我慢しながらメモ帳にペンを走らせた。
「……そうですね。私が見つけたというよりは、この子が見つけてくれました。沼に落ちた先にあったところを」
少女はそう云いながら、太股で寝ている小動物の頭を撫でた。
その様子を見て、ノアールは思い出した様に口を開いた。
「──あぁ、そうだ。序でで訊こう」
Q4.君に懐いている様子の、その猫やら兎やら分からない動物は何と云う動物?
「……分かりません。旅の途中で仲良くなって、気付いたら私に付いて来ました」
「名前とかあるの?」
「……窓の向こうを眺めている子は“エメラルド”、太股で寝ている子は“ターコイズ”です」
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