粉雪降る街の喫茶店

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Q6.憧れの人は居る? 「居ないわ」 彼女はきっぱりとノーで答えた。 Q7.今まで見つけた宝石を何処かへ寄贈したり、誰かにプレゼントしたりとかは? 「……考えてないわ」  少女は顔を灰色の雲の様に曇らせていた。  無表情な方が未だ良いかもしれないと思うだろう。しかし何か反応がある方が、彼にとって考えやすかった。彼女の反応から、自分で楽しむ為に集めているという答えを得られたからだ。  ……眺める以外にどう楽しむのかは、手にした人にしかよく分からないが。 「あの。何だか関係無さそうな質問があった様な……」 「では最後に──」 Q8.君は何の為に宝石を集めているんだい? 「……何の為に、ね」  彼の少し強引な話の流れに呆れつつも少女は答えた。 「私は、輝くものが好き。……ただ、それだけよ」  この時、少女は彼の前で初めて笑った──のかもしれない。先程の質問の流れから、何処に笑える要素があったのかはよく分からない。 「……そう」  ノアールは彼女の顔を見て、そういう表情も出来るのかと驚いていたが、その笑顔に釣られる様に微笑んで相槌を打った。 「君の目的は単純に、好きで宝石を集めてるだけなのかな? 他に目的がある様に感じるけど……」 「……」  しかし少女はまた無表情に戻ってしまい、黙ってしまった。 「いや、今回はこれまでにしよう」  これ以上、彼女の機嫌を悪くさせまいと考えただろう。  彼女の答えを待つ事は無く、ノアールはメモ帳を閉じてボールペンと共に、椅子の下で忍ばせていたかの様にあった小さな鞄へ仕舞う。 「さて。今回のインタビューを受けてくれたのは、探してる宝石の情報が欲しかったからだったかな?」 「……そうです、教えて下さい」  ノアールの言葉の一部に、少女は反応して猫の様に目を輝かせた。
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