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雲の隙間から地球を見る。青い波が日差しを白く照り返す。青と白の絨毯を一艘の小さな船が切り裂いていく。私の乗る飛行機と海を走る船はちょうどねじれの位置の関係になっている。少し人生に似ていると思った。
久々の帰省からの帰り道。十年ぶりに開かれた同窓会。すっかり大人になった人も、見た目が全然変わっていない人も入り混じって、時の流れを感じたり、高校生の頃に戻ったような気持ちになったり、ちっとも成長していない心が忙しく弾んでいた。あと、意外と名前を覚えているもんだなー、と思ったりもした。一番の仲良しだった佐々木葉子ちゃんはもちろん、一番可愛かった佐倉藍ちゃんも、頭の良かった豊島あかねさんも、野球部のエースだった三浦陽介くんも、四角い顔の山田亮治くんも覚えていた。本当は一番好きだった石黒航くんのこともちゃんと。彼は私の名前を覚えていただろうか。
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