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「昨日のドラマ観た?」
「観た観た、チョーヤバかったよね!」
「ヤバかった!キュンキュンした!」
彼女たちはヤバい、という言葉でしか事の感想を述べるができないのか。と、脳内で舌打ちをしながら三石文子は教室の席に着いた。一限の授業まではまだ時間がある。鞄の中から文庫本を取り出し、読もうとしたところだった。
「ほんと、エンコイ観てない人って損してるよねー」
「わかるー。観てない人とか家で何してるんだろ」
「ひたすら本でも読んでるんじゃない?」
(三石さんみたいに)と付け加えそうな様子で吉永さんたちが話すのを聞いてしまう。自分に対する嫌味として言われたのかどうかはわからない。
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