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赤い靴
まず目に入ったのは「赤い靴」
小さな足に不釣り合いな革靴
色はまるで、血溜まりの様な漆黒の赤
ゆっくり顔をあげて、その全身図を確認する。
幼稚園児の様な幼い少年
透き通る様な肌色
クラッシュデニムにダウンの襟元からは
中のパーカーが顔を出している
どこにでも居るような少年の違和感は、ただ一つ
あの「赤い靴」だ。
「大丈夫?」
少年は小さな身体を少し屈めて、顔を僕にちかづけた。僕は、恥ずかしいやら、痛いやらで、少し動揺していたが、ようやく身体を起こす事が出来た。
「ありがとう、大丈夫だよ。」
手に着いた砂利や、服の砂埃をはたいてると、少年は、ニヤニヤ笑いながらその様を眺めていた。
「……な、何か?」
僕は、少年に問いかてみた。
「あんた、俺が見えるんだね♪*゚」
「……え?」
あぁ、もしかすると僕は
見えなくて良かった「モノ」を
今目の前にしているのだろうか。
急に背筋に冷たいなにかが、流れ落ちた。
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