イロノナイセカイ

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彼に手を引かれて歩く。 もうこうやって歩く日は二度と来ないんだ…… 広い背中 大きな手 大好きだったよ。 力強く抱き締めて たくさんKissをして 好きっていっぱい言ってくれた。 恋を知らなかった私に 苦しいほどの想いを教えてくれた もうこれで充分じゃないか これ以上何を望むの? 橋の真ん中で貴司は立ち止まり振り返った。 繋がれた手は離れない…… 貴司「なんでここで会おうって言ったか分かる?」 『初めて1日デートした所だから?』 そう返すと嬉しそうに笑い、 分かってくれて嬉しいって言った。 そして眩しそうに眼を細めて小さく笑い 私を見つめた。 貴司「花恋……ありがとう 幸せになって……」 ダメだ泣きそうだ グッと我慢してにっこり笑う。 すっと貴司の大きな手からわたしの手を離し 彼を見つめたまま後ずさる。 イロヲナクシタ私には貴司と その後ろに見える街路樹の緑さえも セピア色。 『サヨナラ……』 くるりと身をひるがえし真っ直ぐ前を見て歩き出す。 風にのって貴司の声が聞こえた ーーーーーーサヨナラーーーーーー と…………
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