癒やしの夜

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思い返しても 不思議な夜だった。 何で海へ行かなきゃと思ったのか なぜ哲朗くんが海に入った私を見つけることが 出来たのか 頭の中で聞こえたのは誰の声なのか 考えてもさっぱりわからなかった。 海から上がった私に 脱いだ靴を鉄郎くんは私に履かせると 片手には私のバック もう一方の手は私の手をひいて 皆の待つ哲朗くんの宿泊している旅館に向かう。 哲朗くんもびしょ濡れなのに温かい手だった…… 部屋に着くとびしょ濡れの哲朗くんと私を見て みんなよってたかってバスタオルで拭かれ た。 砂が付いた足は部屋のバスルームで洗い綺麗にする。 一息ついて部屋の窓から外を見ると いつの間にか台風は通りすぎ 空には星が瞬い とても綺麗で なんだか泣きそうだ。 何の涙? 悲しい涙 悔しい涙 切ない涙 いいえ…どれも違う。 星が綺麗だなんて思う感情 まだ私の中にあったんだ…… 雨が止み みんな花火しに行こうって盛り上がって 部屋から出て行く。私は窓辺の椅子で膝を抱えて ぼーっとそれを眺めていた。 哲朗くんがそんな私の前に膝立ちして ニコニコしながら 乾きかけた私の髪を撫でる。 『……哲朗くんは花火しないの?』 哲朗「しないよ?」 『……なんで?』 哲朗「今はカレちゃんの側にいるよ……」 そう言って顔を寄せ私のおでこにKissをした
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