自業自得

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ソファーの前にあるローテーブルを 移動させ 私の脚元に跪くと 足首を持ち前後に揺らし 谷「こうしても痛くないですか?」 そう言って私を見上げた。 ミニのワンピースから太腿が顕わになり 膝と膝の間からショーツが見えてしまいそうで 恥ずかしくてたまらない。 茹で蛸のように真っ赤に染まりながら 顔を横に振る私と目が合うと 縁なし眼鏡の奥の眼が見開かれ ゆっくりとそれが優しいカーブを描く。 クスリ と笑うと立ち上がり ソファーに座った。 さっきよりも距離が近いのは気のせいか… 少しでも離れようとソファーの端っこに私は体を沈め背中を押し付けた。 谷「さて、そろそろ何でこんな怪我をしたのか 話してもらえますか?」 ビクッ 先生の冷静な声に一気に体の芯が冷えた。 谷「明らかに手首のアザは 大人の男性に付けられたものですね。 しかもかなりの強さで。 顔も殴られた傷ですし… 僕は医師です。 暴行を受けた可能性のある患者を 診た時には通報の義務があります」 はっとして顔を上げると先生は真剣な顔をして 私を見つめていた。 『私 暴行なんてっ』 谷「受けてますね』 先生の眼がキラリと光る 谷「言いたくないのはわかります。 いえ、言いたくないじゃなくて言えないのですね… 僕が聞く質問に yesかnoで答えてください。 崎山さんに暴行したのは お付き合いしている人ですか?」 戸惑いながら首を横に振る 谷「じゃあ、以前お付き合いしていた人ですか?」 えっ?! 谷「その顔は何でわかったのかと思ったんですね。 こういう犯罪は初対面よりも顔見知り…… 元夫婦や元恋人などが圧倒的に多いのですよ」 『あのっ』 谷「ダメです。 崎山さんの質問は後にしてください。 僕の質問に答えてからです」 淡々とそう言い じっと私の眼を見た。 谷「その男は 最後まで…崎山さんを自由に扱い 思いを遂げたのですか?」 静かに先生の言葉が響く。 とたん思い出した昨夜の狭い車の中での 屈辱的な行為。 抵抗し殴られ 目の前に火花が散り いとも簡単に両手の自由を奪われた。 ビリリっと布が裂ける音 嫌っ やめてっ 何度叫んだだろう 男の力には到底敵わない女の非力さに 絶望した。
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