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『先生、違うの……
私、今リュープリン打ってて』
*リュープリンとはホルモン注射で子宮筋腫や子宮内膜症の治療に使われ生理を止める作用があります。私は子宮内膜症の一種 チョコレート嚢腫でした。
1ヶ月に一回注射してそれを6か月続けます。
谷「……あぁ そうでしたか…
リュープリンは何回目ですか?」
『……2回目を先月末に打ったばかりです』
ほぅっと先生はため息をつき 良かったと言い
ギュッっと私を抱きしめた。
谷先生の腕の中は温かくて
このまま甘えてしまいたくなる。
でもこの人は貴司じゃない……
昨夜の出来事は貴司を取り戻すため
私が私を不幸にするために
必然的に起こった自業自得の出来事なのだ。
すっと心が冷え、先生の腕を外し
立ち上がった。
背中ごしに先生のため息が聞こえる。
だめ、甘えちゃだめ。
私が欲しいのは 貴司ただ一人だけなのだから……
そう自分に何度も言い聞かせていた
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