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「水……。水を、一杯、ください」
「は、はい!」
考える間も無く、私はすぐさまキッチンへと走った。
「どうぞ……」
水を汲んで戻ると、男は既に上体を起こし、ドアの横の壁に背中を預けていた。
「ありがとう」
私の手からコップを受け取るなり、男はその水を一気に平らげた。
「ふう……」
少し楽になったのか、男の口から吐息が漏れた。
「あの……」
問いかける私にガラス玉のような瞳を向けると、おもむろに、男が訊いた。
「ここは、どこですか?」
えっ?
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