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澄んだ瞳を引き立てるかのような、艶やかな黒髪。
長身の身体から伸びる、しなやかな腕と、長い脚。
彼の動きに合わせ、光が動く。
こんなに美しい人間を見たのは、生まれて初めてだ。
少しだけ、胸が弾んだ。
男が興味深そうに部屋の中を見ているうちに、私は寝床の準備をした。
簡素なお客様用布団だが、間に合わせなのだから仕方ない。
「ここからこっちに来ないように」
布団に沿って架空の線を引くと、私は自分のベッドに入った。
そんな様子を、男は首を傾げながら不思議そうに見ていたが、自分もおずおずと布団に入り、そのまま静かに目を閉じた。
よほど疲れているのか、男はすぐに眠りにつき、微動だにしなくなった。
暗闇でもはっきりとわかる端正な顔立ち。
ガラス玉のような瞳は閉じられていても、彼の美しさは全く損なわれない。
こんなイケメンの身に、一体何があったのだろう。
そんなことを考えているうちに、いつしか私も眠ってしまった。
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