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はじまり
出逢いは突然やってくる。
例え望まぬものだとしても。
人はそれを、『運命』と呼ぶのだろうか。
***
――この状況は、一体……?
私は、まるで人形のように微動だにせず眠る、この美しい青年を見つめた。
***
私こと天野雫は、その日の仕事を終え、帰り支度を整えていた。
「雫ちゃん。お疲れ様。はい、これ今月分」
「ありがとうございます!」
店主から封筒を手渡され、ワクワクしながら中身を確認する。
期待と中身がほぼ一致しているのを確かめると、その封筒――給料袋を丁寧にバッグにしまった。
「それじゃ、お先に失礼します!」
挨拶をして店を出る。
「はいよ! 気をつけてね。また明日」
店主の元気な声を聞いてから、引き戸を閉めた。
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