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「それで……。本当に申し訳ないのですが、実家の方にも挨拶に行かないといけないので、今日からまた三日間、お休みを……」
「何言ってんだい! これからいろいろ準備することあるんだろ? うちはいいから、心配しないで行ってきな!」
親指を立ててウインクする女将さんに、「ありがとうございます」私たちは揃って頭を下げた。
突然バシッと勢い良く星夜の背中を叩くと、女将さんは悪戯っ子のように茶目っ気たっぷりに笑った。
「泣かしたら承知しないからね!」
「参ったな……。聡史と同じこと言われた。俺ってそんなに信用ないですか?」
困った顔で頭を掻いた後、星夜は女将さんを真っ直ぐ見つめ、胸を張って答えた。
「大丈夫! 絶対泣かしたりしません! 俺は一生、雫を守り続けます!」
私は、溢れる涙を抑えることができなかった。
隣で笹岡夫妻が、涙を流しながら、何度も何度も頷いていた……。
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