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「では、よろしくお願いします」 入り口の戸を開けると、「幸せになるんだよ」背後から、女将さんの優しい声が響いてきた。 振り向くと、穏やかな表情で見送る女将さんの奥で、店主が涙を拭っているのが見えた。 『今までありがとうございました。お元気で。さようなら』 出せない想いを心の中で何度も何度も繰り返し、深々と頭を下げると、私は静かに戸を閉めた。 歩いているうちに、次々と涙が溢れ出し、もう一歩も進めなくなった。 そんな私の肩を、星夜が強く、抱き締めた……。
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