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しばらくすると、大きなケーキを手に、二人が戻ってきた。
「改めて。結婚おめでとう!」
「急だったから、間に合わせで悪いんだけど……」
美琴が申し訳なさそうに、生クリームと苺でデコレーションされた丸いケーキを、私たちの前に置いた。
ケーキの上には『HAPPY WEDDING』の文字が書かれたプレートが乗っている。
「これだけは書いてもらったの」
「ありがとう……」
涙が滲んだ。
「やだ。泣かないでよ」
美琴が、私の頭を優しく撫でた。
「泣かすなって言ったろ?」
聡史が星夜を睨んだ。
「え? 俺?」
星夜が人差し指で自分を指差し、「勘弁してくれよ……」と苦笑いした。
みんなの笑顔が眩しい。
幸せなこの瞬間を切り取りたくて、私はそっと目を閉じた。
この先もずっと、変わらない友情を信じていたかった……。
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