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駅までの道を、星夜と並んで、ぼんやり歩いた。
言葉は無くても、繋いだ手からは、溢れるほどの優しさが伝わってくる。
今の私には、その熱だけが、頼りだった。
じきに、思い出がたくさん詰まった街並みが見えて来た。
普段何気なく歩いている道が、今日は何だか違って見える。
よく行ったカラオケ店。
そこで、聡史と初めて出会った。
あれから、いろんな事があった。
聡史と星夜との間で揺れ動いた想い。
初めての夜。
聡史の優しさに甘えていた日々……。
星夜もカラオケ店をじっと見つめている。
きっと、同じ想いを抱いているのだろう。
私は、星夜と繋がっている左手に、少しだけ力を込めた。
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