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新幹線を降りてから、電車を乗り継ぎ、私たちはようやく目的の地に降り立った。
夕陽が眩しい。
「もう夕方か……。結構時間かかったね」
夕陽を受け、星夜の瞳が琥珀色に輝いている。
「綺麗……」
「今さら見惚れんなよ」
星夜が、はにかみながら笑った。
私たちは手を繋ぎ、家までの道を歩いた。
懐かしい。
学校までの道のり。
毎日自転車を漕いで通った道。
角の文房具屋さん。
いつも帰りに飲み物を買っていた自動販売機。
確か、一度だけアタリが出たっけ?
ーーウーッ! ワンワン!
「あ……。あの犬、いつも私にだけ吠えるんだよ」
私は、星夜の影に隠れた。
広い背中が、安心感を与えてくれる。
「大丈夫。俺もこないだ吠えられた」
星夜の一睨みに、キューンと一つ鳴き声を上げると、犬が頭を低くした。
「星夜すごい!」
背中にしがみつきながら、そっと犬を覗き込んだ。
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