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「お父さん? お母さん?」 ドアを開けると、そこには、父と母がいた。 父が鏡の前でネクタイと格闘し、その横で、母が鏡台に向かって口紅を塗っている。 「ちょっと。何してんの? 二人とも」 「あ、おかえり。ちょっと待ってて」 ティッシュで口紅を押さえながら、母がこちらを振り返った。 「どうでもいいけど、どうしたの? その格好」 父はスーツ、母はワンピースという、明らかによそ行きの出で立ちだ。 「だって……。雫が星夜さん連れて来るって言うから、お父さんが……」 「二人で来るってんだから、そりゃあ結婚の報告に決まってんだろ。そういう時は正装と、相場が決まってる」 父はなぜか、得意げだ。
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