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「それじゃあ、ご馳走様でした」
外に出ると、暖かい陽の光が、私たち家族を明るく照らした。
「式の日取りとか決まったら教えてちょうだい。準備があるし」
「うん。連絡する」
「笹岡夫妻にもご挨拶に伺わなきゃ。ね」
母が声を弾ませ父を見ると、「そうだな」父も嬉しそうに答えた。
「じゃあまたな。星夜君。雫のこと、よろしく頼むよ」
「はい」
「あ、そうだ! ちょっと待ってて!」
急に何かを思い出し、母が急いで家の中に入って行った。
「全く……。何だってんだ、こんな時に……」
しばらく待っていると、「お待たせ!」母が小走りで戻って来た。
「はい。出来たてホヤホヤ。持って行きなさい」
写真だった。
さっき撮ったばかりの……。
「お母さん……。ありがとう……。ありがとう……」
涙が溢れて止まらない。
星夜が、私の肩を優しく抱いた。
「どうしたの? 変な子ねぇ」
父と母が顔を見合わせ、吹き出した。
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