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「そういえばさぁ。初めてビール渡された時、『乾杯』の意味がわからなくて……」
冷えたグラスを親指の腹で撫でながら、星夜はクスッと笑った。
「他にもわかんないことがいっぱいあったから、いろいろ雫の真似してた」
「そうなんだ。あと、わかんなくて真似したことは?」
星夜は、斜め上方に視線を走らせ「んー」と唸った後、「あ、そうそう!」人差し指を立てて、輝く瞳を私に向けた。
「バスに乗って田園風景見に行った時! あの時雫、いきなり手、繋いだでしょ? 俺ね、よくわかんなくて、歩く時っていつも手、繋ぐのかと思って……」
「ああ、それで……。あの後、大変だったんだよ。何で星夜は手を繋いでくれたのかとか、もしかして私に気があるんじゃないかとか……。いろいろ妄想しちゃった」
あの日の謎が解明され、今更ながらスッキリした。
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