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「でもさぁ。それ知らないから俺、聡史の手、握っちゃってさぁ。すっげー気持ち悪がられて……。まあ、記憶なくしてるから、多少の不自然な行動は大目に見てくれたみたいだけど」
「何それ? 初耳ー!」
その状況を思い浮かべ、思わず吹き出してしまった。
聡史の驚いた顔が目に浮かぶようだ。
私が大笑いしていると、「やっと笑った」星夜がホッと息をついた。
「雫、ほんとは迷ってるでしょ」
星夜のダイヤモンドの瞳が、私の心の奥を照らす。
やっぱり、見透かされている……。
私は、正直に答えた。
「迷ってないって言ったら嘘になる。だって不安だもん。全く知らない世界に行くんだから。しかも周りは全てヒューマノイド。生身の人間は私一人。どんな実験を手伝わされるかわからないし……。相手は、あのハヤタだからね」
星夜の顔が強張った。
瞳にまた少し、怒りの色が滲んだ。
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