はじまり

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で、晴れて私は、この定食屋さんで雇ってもらえることになったのだ。 「それにしても、さすがに就職先探さないとなぁ」 独り呟き天を仰いだ。 原因はわかっている。身の丈に合わない企業ばかり選びすぎているのだ。 そんなことは重々承知だ。 けれど、私には意地があった。 地元に帰らずここで生きて行くと決めたからには、せめて名の通った企業に就職しなければならない。 我ながら実に浅はかだとは思うが、それ以外、両親を納得させる手立てが見付からなかったのだ。 結局、どこも呆気なく惨敗。 このままずっとあのお店で働かせてもらえたら、どんなにいいだろうか……。
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