はじまり

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すっかり通い慣れた道をあれこれ考えながら歩いていると、いつの間にか一人暮らしの部屋の前まで来ていた。 ため息混じりにドアを開け、「ただいまぁ」誰もいない部屋に声を掛ける。いつもの癖だ。 簡単な夕食を済ませシャワーを浴びると、今日もお楽しみのひと時がやってくる。 私は冷蔵庫を開けると、ウキウキしながら缶ビールを取り出した。 「そういえば、星が綺麗だったなぁ」 さっき見上げた星空を思い出し、私は缶ビール片手に窓を開けた。 「気持ちいい」 夜風が、火照った身体に心地よかった。 頭上に広がる星空を眺めていると、就職のこととか、この先のことなど、どうでも良くなってくる。 「まあ、なるようになるさ」 呟いた時、急に空が明るく光った。 「えっ!」
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