はじまり

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しばらく見惚れていると、男が口を開きかけた。 と同時に、ふっと視界から消え、直後、何かが落ちるような大きな音がした。 「ええっ?」 慌ててチェーンを外しドアを開けると、そこには、さっきまで美しい瞳で私を見つめていた男が横たわっていた。……というか、倒れていた。 ガラス玉のような瞳は閉じられ、眉間に少し皺が寄っている。 「大丈夫ですか?」 オロオロしながら尋ねると、男は苦しそうに顔を歪めた。
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