一難去ってまた一難

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一難去ってまた一難

夏の風が、少しずつ秋の装いをまとい始めた。 それとともに、星夜のキスブームも少しずつ落ち着きを見せてきた。 「じゃあ、今は小学生ってとこかぁ。意外と成長早いね」 受話口を通して、何やら考えながら喋る美琴の声が聞こえてくる。 「こっちは『やっと』って感じだよ。ようやく安心して連れ出せるレベルになったよ」 ぐったりして答えると、美琴が「お疲れ」と笑った。 「そっちは? お試し期間は終了したの?」 「んー。終了したような、しないような……。でも、なんかこのままでいっかなって……。聡史君といると、なんか落ち着くの。気持ちが穏やかでいられる。ありのままの自分でいられる。それって何気(なにげ)にすごいことなんじゃないかなって……」 「ありのままかぁ。星夜はありのまますぎるよ。少しくらい飾って欲しい」 「いいじゃん。雫にしか見られない星夜がいるんだから。それはそれですごいことだと思うよ。だって、雫だけの特権じゃん!」 「特権ねぇ。特にお得感はないけど……」 ため息混じりに不満を漏らす私を、美琴が笑った。
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