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「おやおや。どうしたんだい? お揃いで。今日はまだ休みじゃなかったかい?」 二人揃って定食屋の入り口をくぐると、奥から、笹岡夫妻が驚いて出て来た。 私の出勤は、明日からの予定だ。 「ええ、そうなんですが……。実はお願いがあって……」 一旦、星夜の方を見る。 星夜の瞳が、『大丈夫』と勇気をくれる。 その瞳に見守られながら、私は、女将さんに向き直った。 「実は私たち、結婚することになりまして……」 「ええーっ!」 二人が声を揃えて叫んだ。 「そりゃ本当かい? こりゃ、なんておめでたいんだろう! ねぇ、あんた!」 目頭を押さえながら声を掛ける女将さんに、「良かった。良かった」と手の甲で涙を拭いながら、店主が答える。 「それじゃあお祝いしないといけないね! そうだ! あの子たちも呼ぼうじゃないか! 聡史君と美琴ちゃんって言ったっけ?」 全身で喜びを表現しながらはしゃぐ女将さんに 、「ありがとうございます」私たちは揃って頭を下げた。
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