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永遠に……
アパートに着く頃にはもう、陽は傾きかけていた。
それは、約束の時間が近付いていることを示していた。
星夜が、私の部屋の前で足を止めた。
「最後は、雫の部屋がいい」
私は一つ頷くと、自分の部屋のドアを開けた。
「座って」
星夜は私を座らせると、キッチンへと向かった。
そして、慣れた手つきで冷蔵庫からビールを一缶取り出し、「雫と言ったらビールでしょ?」と笑った。
星夜ったら、こんな時に……。
星夜の思わぬ気遣いに、気持ちが少しほぐれた。
「さすがに酔っぱらっちゃマズイから……」と、星夜は二つのコップにビールを分けた。
「それじゃ、かんぱーい!」
二人でコップを掲げると、大袈裟に音を打ち鳴らせた。
「惑星エフトゥフにもビールあるかな?」
おどけた私に、星夜が柔らかく微笑んだ。
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