ぜんっぜん眠れない

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トン と叩く。一瞬止まる。 しばらくするとまた始まってイライラする。 今度は。 どん と叩く。 ・・・だけど、今度は一瞬も止まらない。 もういい加減にして! 眠れやしない! 思わずどぉん、と蹴飛ばしたら。 「痛いっ!」と目が覚めたらしいけど。 痛いって何なのさ、と腹が立つ。 私はそっと揺り起こした何回も。私はずっと我慢した何回も。 耐えかねてちょっと強くやったら、 「痛い」ってよっぽど私が暴力的みたいに!! きぃぃぃぃぃっ! かなりやばい私の精神状態!! なのに。 ふうとため息ついて、主人はまたすぐに眠ってしまう。 眠るの、はやっ。 ま、怒られなくて良かったけど。 わたしは自分の分の毛布を肩まで上げる。 すうすうと主人が寝息立ててる今のうちに、眠ってしまおうと考える。 だけどまた。 ・・・大きないびきが部屋に響き渡る。 トン と叩く。一瞬止まる。 しばらくするとまた始まってイライラする。 今度は。 どん と叩く。 ・・・やっぱり止まらない。 眠れないってば! もうだめ! だからってもう蹴っ飛ばす気にはなれなくて。 はあ、とため息ついて。布団の上で座り込む。 もう起きちゃって、明日お昼寝しようかな。 あ。だめだ。明日の昼ドラ、最終回だ。どうしても観たいわ。ヒロインの浮気を旦那は許すのかしら? 主人の顔を見て。いびき止まないなら、浮気してやる。とにらみつける。 と。 一瞬止まるから、びっくりするけど。 また直ぐに、ぐおお。と始まる。 はぁぁ。 いっぺん気になると本当だめだ。眠れる気がしない。 ・・・そうだ、ほかの部屋で寝よう。 がばっと起きると、わたしは自分の毛布を抱えて。 娘の部屋へ。娘のBEDへ移動する。 ・・・やっと眠れる。最初からこうすりゃ良かったわ。
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