娘たちが出て行った

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短大出て2年働いて。22歳で結婚した。 いうところの社内恋愛。 告白されて、何回かデートして。 ま、いいか。と思ったから、1年くらい付き合って。 顔は普通。8つ年上だから、まあそれなりに包容力も経済力もある。 正直に言っちゃえば、あんまりタイプじゃなかったけど。 一生大事にするって言ってくれたから。結婚してあげた。 実家でぬくぬくと暮らしてきたわたしは家事全般苦手だったけど。 主人からは何にも文句言われたことはない。 ひとり暮らしの長い主人の方が料理は上手だったから、 休日には手の込んだ夕飯作ってくれた。とっても美味しかったし。 キッチンの後片付けまでやってくれてたら完璧だったよなぁ、と思い出す。 長期休暇が取れた時は、ふたりで温泉旅行に行ったりした。 海外は新婚旅行で飽き飽きしちゃった。日本語が通じるってホントいい。 馬鹿なわたしに付き合って、主人も外国に行くことは無くなった。 本当はわたしと一緒に、なんとかいう遺跡を見に行きたかったらしいけど。世界史が好きな人だから。 まだ付き合ってる頃に言ってた。 あちこち遺跡巡りしたけど、そこだけはまだ行けてないからって。 すごくきれいな場所だけど。ホテルの設備はなかなかで。シャワー浴びてるといきなり水になったり、お湯が止まったりするらしいよ。なんて、楽しそうに。 それ、笑うとこ? わたしはそんなトコ行かないわ。 3年後。そろそろ子ども欲しいねぇ、なんて言ってたら。双子の女の子を授かった。 嬉しかったけど、不安だった。産むのも育てるのも。 あの頃は、かなりナーバスだったなぁ、と思い出す。 でも。主人てば。 何かあると直ぐに泣き出すわたしに、大丈夫大丈夫ってそれしか言わないの。 簡単に言ってくれるわ!と頭にも来たけど。 なんでか、大丈夫って言われると大丈夫な気になった。 子育ては大変で。 ひとりが泣けばもうひとりも泣くし。 とにかくバタバタして育ててた。 何するにしたっていきなりふたり分用意しなきゃだし。 手間もかかるし、出費もかさむ。 夫婦で話し合って、子どもはふたりと決めた。 本当は。主人は男の子も欲しかったのかなぁ、と今更思う。 ものすごーく育児に参加してくれたおかげか、娘ふたりはしっかりパパっ子に育った。
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