話すタイミングをうかがってるのは分かってる

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「でね、言ってやったすよ。女の言う『可愛い友達』なんて当てになんないって。だってそうでしょ。お互いに相手を引き立て役にしか考えてないじゃんって。そしたらー」 「そしたら?」 身振り手振りの赤君に私は相槌を打つ。 「彼女、怒っちゃって。それ以来、会ってないっす」 赤君は目下独身。 軽い性格で従業員からの人気は高いのだが、それが災いしてだろう、プライベートではなかなか良縁に恵まれないのが悩みの種の様だ。 「あーあ。それに引き換え、青は良いよなー。あんな美人の嫁さんが居てさあ。結婚して五年だったっけ?子供はまだなん?」 聞くとは無しに、湯気を立てるマグを手で覆っていた青君は不意に話を振られ、 「それは人それぞれ、家庭それぞれだよ」 それだけ呟いた。 青君は妻帯者。 だけど私がいる前では、奥さんの事はあまり話したがらない。 私だけがそれに気付いている。 「ちぇ。余裕だね。あーあ。俺にも出会いがあればなー。ん。そうだ!名案があるっすよ、アネさん」 「何?またロクでも無い事でしょ」 「いや、アネさん、今フリーって言ってたでしょう。自分とはどう…」 「ばっか。おとといおいで」 私はこの職場に来てまだ間もないのだが、彼が話題を常に振ってくれるので、すぐに馴染む事が出来た気がする。
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