話すタイミングをうかがってるのは分かってる

11/14
前へ
/36ページ
次へ
また嵐のような昼調理を終え、片づけを済ませた後で社員揃って昼食を取る。 食後にうた子さんは薄桃色の乙女チックなポーチから調剤薬局の処方薬を取り出した。 「なんすか。丈夫が取り柄のうたさんが薬って。どっか悪いんすか?」 赤君が訊ねる。 「あのねえ、この年になればどっかにガタがくるもんなの。医者の回数も増えるしね。あんた達みたく若いうちは分かんないでしょうけど。ねえ、青君」 「若くはないですよ。それに飲まなきゃいけない薬も勿論ありますよ」 「へえ。見たことない。食後に飲まないといけないんじゃないの?」 「就寝前にです。逆に空腹でないといけないし」 黙って三人の会話を聞いていた私は、青君の言葉にぎょっとした。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加