話すタイミングをうかがってるのは分かってる

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「あの、すいません。なんか」 厨房へと向かう途中、通路の曲がり角。 前を行くうた子さんと赤くんが視界から消えた隙に、青くんが声をかけてきた。 「なんか、変に思われる様な事を言ってしまって…」 「大丈夫。気にしてないわ」 「でも、二人から…特にうた子さんから変に思われたに違いなく…いや、そうじゃなくて…」 煮えきらない態度に、私はちょっとだけ意地悪な気持ちが芽生えた。 「それともさあ、青くん」 置き去りにするように通り過ぎながら、 「気にしてほしかった?変に見られて、ちょっと嬉しかったこと」 「!」 固まる青くんを横目で見ながら早足で立ち去る。 淡い気持ち。 でも今回だって上手くは行かないんだ。 分かってる。 でも、もしかしたら…。
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