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「青くんさ、奥さんとはうまく行ってるの?」
休憩室改め更衣室。
閉じたカーテンの向こうでお互い着替え中の彼に、私は再び意地悪をする。
一瞬の逡巡。
「ええ、順調ですよ」
嘘。
声音が震えているもの。
ちょっと度が過ぎたかな。
今日は話すきっかけが出来た事で、私も彼も、箍が外れてるのかも知れない。
そのままの流れで、聞いてみた。
「…体。どこか悪いの?」
五秒間の間。
きっとカーテン越しに私を見つめているのだろう。
「実は…」
「いやー、うたさんもきっついよね。あれ、まだ着替えてたん?」
不意にガチャリとドアの音がして、赤くんが入ってきた気配。
結局何も聞けずじまいで、飲みに行きましょうよーと誘う赤くんを振り切って私は帰宅した。
青くんの「家内が待ってるから」の断り文句を背に聞きながら。
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