きっといつか いつの日か

話すタイミングをうかがってるのは分かってる

経験した事のある人は分かると思うけど、ピーク時の調理の現場は戦場だ。
業務用オーブンから五十人分の目玉焼きを取り出し、すぐさまウインナー五十人分を突っ込む。
焼成待ち時間の間に、次の鉄板に卵五十個を割りほぐしていく。
「先発、上がり！お願い！」
同僚に声を掛ける、と云うより荒げる。
「あざっす！了解です！」
朝食を共に担当する男性社員が返事をする。

あらら。
貴方のほうがここでは先輩の筈だけど。

この業界は女性の占める割合が高い。
男性も立ち位置にこだわらないようにするのだろう。
彼はフードプロセッサーの前に鉄板を運びながら、
「これ、全部刻んじゃっていいっすか？」
確認してくる。

いや、だから。

私の方が後輩ですってば。