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歩き始めるようになった子どもを連れて行く公園では、有名な子がいる。
公園に隣接している家の子で、多忙な両親がその子一人を放置して遊ばせているのだ。
寂しいのか、彼はいつも他の親子や子どものグループに近寄り「いれて」「いれて」と言っている。
厄介なのは、その後遊びに誘うと、誘った人の家まで後をつけて上がり込もうとする所だった。
その為、今では彼に話しかける人は殆どいなくなった。
私は彼がいつも公園で遊んでいる時間帯とずらして子どもと遊んでいる。
ある日の午前中、いつものように子どもと砂遊びをしていると、例の子がやってきた。
ぎょっとして固まる私と子どもの間に入り、いつものように「いれて」「いれて」と言ってきた。
私は子どもを背に庇いながら、「ごめんね、もう帰るところだから」と一言言って、不機嫌になった子どもを抱き上げ公園を後にしようとした。
すると彼は、私の腹を撫でさすりながら嫌な笑い声をあげた。
「はいれた、はいれた、はいれた」
その日の夜、私は嫌な気分で腹を撫でた。
妊娠3ヶ月目のことだった。
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