1.被害者であること

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   久しぶりの焼き鳥は美味しくて、ジェイはすっかり堪能した。 「また来ます! ご馳走さまでした」 「待ってるよ!」 「また来るね」 「はいはい」 「……俺の扱い、酷くない?」 「そう?」  車に乗ると蓮はまた不機嫌な顔になっていた。 「どうしたの? なんか機嫌悪い」 「お前はおばちゃんににやけた顔見せるし、おばちゃんは俺よりお前を大事にするし」  ジェイは可笑しかった。やたら今日は蓮が拗ねる。 「蓮さ、おばちゃんとこにいつから来てるの?」 「入社した頃かな。大滝常務に連れて来られた」 「常務?」 「それで俺が病みつきになって結構通ったんだ。1週間ぶっ続けで行ったこともあったな。一度酔っぱらって、気がついたら奥の部屋で寝てたよ」 「そうなんだ」 「それから『蓮ちゃん』になった」 「俺、あの『ジェイちゃん』って苦手だよ」 「お前みたいな子どもにはちょうどいい」  ぷっと膨れたジェイに今度は蓮の笑い声が出る。おばちゃんの所に来て良かった。そう思った。   
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