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刑事の話はそれで終わり、ジェイはすぐに蓮のところに行った。
「じゃ一人逃げてるんだな?」
「でもすぐに見つかるだろうって」
「そんなの確定じゃないだろう。逮捕されるまで用心しよう。俺がいないところで一人で出歩くな。いいな?」
「分かった。もう勝手なことはしないから」
秋野芳樹を誘い出した時の自分を振り返ると、ずい分無茶をしたと思う。そのせいで石尾を振り回し、尾高や広岡、そしてオフィスのみんなを心配させた。
(もう誰にも迷惑をかけたくない。だから勝手なこと、しないからね)
警察も探しているのだ、きっと捕まるはずだ。
日曜は少し息抜きをしようと蓮がドライブに連れ出してくれた。
「このところ、根を詰めているからだろう? 仕事も忙しくなっているし、今の内に気晴らしを楽しんでおこう」
「どこに行くの?」
「ドライブしてからボーリング」
「俺、去年連れてってもらった時ぼろぼろだった……」
「ああ! あれは酷かった! じゃ、今日は特訓だな」
蓮が大笑いするのを睨みつける。
けれど蓮と二人だからあれでも楽しめた。笑われたり、コーチしてもらったり。蓮が183のスコアだったのに自分が51だったのを覚えている。
「今日は100、出したい!」
「じゃ、うんと扱いてやる」
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