1.被害者であること

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  「いいよ、一人で行く」 「言ったろ、離れないって。お前を会社に送ってから裁判所に行く。いいから支度しろ」  公判だ。花も野瀬も真っ直ぐ裁判所に向かうだろう。始まるのは10時だが、その前に簡単な手続きがある。西崎にも最終確認と注意事項を聞いておかなければならない。  ジェイを会社の真ん前で下ろした。 「中に入るまで見てるから。終われば会社に戻る」 「うん……気をつけてね」 「俺の台詞だ」  蓮は笑った。中に入るのを見届けて車を出した。 (さあ、ジェイより先に戦争だ)  ジェイはひたすら仕事をした。時計を見たくない。花に言われたプレゼンの用意を石尾たちと進める。  翔はポイントを掴むのが上手かった。着眼点がいい。それをきちんと石尾が具体的な形にしていく。七生は仕事でははっきり物を言った。発想力があると思う。 (この三人、いいトリオになる!)  こんな気持ちを始めて味わう。後輩が形になって行くのを実感していく。  
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