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今日は登校日。
ぼくは白い龍をクラスの皆に見せたくて、こいつを小さな箱の中に隠した。
弁当箱として使っていた箱だ。
うちに来てからもう一週間だし、そろそろ水がなくても大丈夫かと思い、そのまま箱に入れてみた。
ぱくぱく、苦しそうだ。
まだだめなんだな、と思い、水を入れて、内蓋もして、外蓋をひもで止めた。
これで逃げる事はないだろう。
ランドセルに入れてしまおうとしていたときに、ママがぼくの部屋に入ってきた。
あーくん? どうしてお弁当箱を持っていくの?
あっという間に箱を取り上げられて、中身を確認され、学校には持って行ってはいけないと叱られた。
学校の皆に自慢したいんだ!
そう言ったが、ペットを学校に連れて行ってはいけません、とのこと。
確かに、学校に犬や猫を連れてくる人はいない。
ぼくはしぶしぶ、納得した。
白い龍を飼った。
ぼくの話はたちまちクラスに広がった。
クラスの中でも体の大きいヒロトくんが来て、ぼくに言った。
龍ってくうそうの生き物なんだぜ、知らないのか。
ぼくはにっこりと、ヒロトくんに、うちに来れば分かるよ、と返した。
ヒロトくんは大げさに肩をあげた。
いやだよ、お前んちなんか行くの!
そう言って、ぼくの肩を叩いた。
どん!
体の大きさが違うぼくは、簡単にしりもちをついた。笑い声があがる。どうしてよいのかわからなくて、ぼくも笑った。
なにしてるの。
りょうこ先生方が教室に入ってきた。
ほら、みんな、席について。
皆ははーい、と返事をすると、それぞれ席についた。
ふと、ヒロトくんのほうを見ると、口の動きがだけで、うそつき、と言われた。
うそではない。うそなんかではない。白い龍はたしかにいる。いるんだ。
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