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恨みのような気持ちで震えた。
でも、私に何が出きるのか。
私も年を取りすぎた。
私がいる、それは少なくとも彼女のブレーキにはなるだろう。
しかし、どうにかしなくてはならない私の前に現れたのが剣斗だった。
仲間だと思ったのだ。
心は悲しみで溢れていた。
生き残った自分を責める彼の心に私は惹かれた。
麗志に惹かれた時と同じ気持ちだった。
でも、彼は違った。
黒い大きな羽を持っていた。
不思議だった。
彼のように独りでいるものなどいないからだ。
憐れだと思ったわけではない。
あの頃と同じ気持ちでいる自分に希望を感じたのだ。
彼がいたら、少女を助けられる、そう思ったんだ。
このままでは、いつか皆滅びてしまう。
その前に、美雨をなんとかしなくてはならない。
藁にもすがる思いだった。
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