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悲しみのノクターン
体に痛みを感じるようになったのはいつ頃からだろう。
少しずつ何かが忍び寄る気配。
時々、耳の奥がズキズキと痛み、酷い時は頭が割れるほど痛くなることがあった。
「麗奈、大丈夫?」
「うん。なんとか。さっき薬は飲んだけど、今日はあまり効かないみたい。」
リックの優しさがつらかった。
日を増す毎に痛みが強くなる。
ロジェが、おそらく美雨の仕業だと言った。
手に入らない腹いせと言えば子供じみているけれど、そうさせないのは麗志さんで、諦めるように説得は試みているそうだ。
それでも無理なのは、彼女が私に執着しているからで、手に入れないと気がすまないからだ。
仮に今すぐ私を手に入れたらどうなるか、ヴァンパイアにするならまだマシで、怒りを抑えられなかった時は覚悟をしなくてはならない。
結末は、生か死か。
それしかない。
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