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何も起こらないのはなぜなのか。
私を手に入れようと監禁までしたのに。
窓から見える風景は、すっかり寒空になりとひらひらと舞う落ち葉。
もうすぐ雪が降るかも、なんて聞こえそうだ。
剣斗はどうしているのか。
私が安全にしていられるのは、きっと彼のお陰。
ロジェとリックが穏やかなのは、今のところ動きがないからで、剣斗も無事だと言う証。
できることならば、すぐにでも会いたい。
叶わぬ思いは弱った体をより一層締め付ける。
自分でもわかっていた。
彼女は私が弱り死にかけるのを待っている。
そうなった時、彼女が来る。
堂々と正面からだ。
きっと、たった独りで。
そして、麗志さんの想いは砕かれる。
届かない愛は、彼を苦しめる。
彼はわかっている。
手にかけるべきは自分だと。
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