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美雨が眠っている間、私は密かに動いた。
ロジェに会うためだ。
太陽が照らす時間に動くことは、私たちにとって危険なことぐらい承知の上だ。
手遅れになる前に動かねばならないと思ったからだった。
しかし、身を潜めるようになったロジェとコンタクトを取るのは容易ではなかった。
なぜなら、美雨に気づかれた時、私でさえ危ういからだ。
今の美雨は制御か効かない。
力を得てしまった美雨に逆らえるものなどいないからだ。
嘗ての我々はそれで生き永らえて来た。
争いが起き、殺し合い、奪い合いながら派閥の領域を守ってきた。
昔はそれが当たり前だったからだ。
我々の数はそれで増えずに繋いできた。
しかし、美雨のしようとしていることは滅びの道を辿るしかない。
現代において、我々が無き存在であり、始末することなど簡単だからだ。
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